聴衆が育つところ

つくばに住んでいるとあまりにも東京への交通の便が良いので、茨城県の県庁所在地、水戸は縁遠くなってしまう感じがします。

しかし私世代にとっては水戸芸術館は吉田秀和氏が立ち上げ、小澤征爾氏が現在館長となっている有名なコンサートホール。ここをレジデンスとする水戸室内管弦楽団は一流の管弦楽奏者で構成される、奏者にとっては憧れの管弦楽団です。

この管弦楽団のコンサートは地方都市でありながら、チケットを入手するのが困難なくらい人気と、また素晴らしい演奏で知られていました。いまは残念ながらこのコロナ禍で定期演奏会もストップしてしまっているようで、サテライト的なコンサートのみ行われているようです。

いつかまた演奏会が開かれることを願って先日芸術館へ行き、お昼のオルガンコンサート(しかも無料!要予約)を聞いてきました。教会でのオルガンコンサートは何回も聞きましたが、芸術館で聞くと適度な残響で音が隅々までよく聞こえますね。

これは水戸芸術館を立ち上げた両氏の功績であると思うのですが、良く聞く馴染みある名曲クラシックでなく、マイナーな作曲家や旬の現代音楽を海外からダイレクトに地方都市に紹介する。そんな手法がもう馴染みつつあるのか、マチネのオルガンコンサートでもレーガーの重厚な本格的な作品が演奏されました。聴衆もお子さんからお年寄りまでいましたが、多分初耳であろうそんな曲もすんなり受け止めているように見えました。開館から20年を経てそういう聴衆を作り育てて来た、それはとても大きな事だと思いました。

茨城ニュースでおなじみ、このタワーも初めて現物を見ました!