日曜日は安息日

ノートル・ダム大聖堂。今年火事になりました。

パリ市内の物件はほぼ築数百年もの。アパルトマンを購入して内装工事をしない限り、防音の部屋なんかありません。音楽系の留学生が一番困るのはこの問題で、ピアノが弾ける部屋を見つけるのが留学の1番のネックなのです。寮の様なところに入れたら超ラッキー、家賃も本当に高かった記憶があります。

留学生が帰国するタイミングで頼み込んで、部屋を借りることができたのは本当に幸運でした。でも住んでしばらく経つと、日曜日の練習を禁止されてしまいました。理由は騒音の苦情ではなく「安息日だから」。そう、フランスはカトリックの国で日曜朝は教会に礼拝に行く習慣があります。私は午前中だけかと思っていたら、終日ダメだと。毎週月曜日がレッスン日だった私は、これには困りました。

その事を学校の教授に伝えると、事もなげに「では日曜日は君は指揮者になるといいよ」と言われました。指揮者の勉強は「楽譜を読みこむこと」。小澤征爾さんが早朝から一人楽譜を前に勉強しているのは有名な話です。

ピアノの勉強=練習することと思っていた私には、これはある意味衝撃的でした。でもこの経験があったからこそ、その後時間がない時やピアノがない時でもパニックにならずにいられたかなと思います。