音が変わっていくレッスン
勤めている音楽教室では年一回、大学の先生をお迎えして特別レッスンを生徒にしていただく行事があります。ここ数年レッスンをお願いしているN教授はピアニストで主にアメリカの室内楽コンサートでご活躍なさってきた先生です。いつものピアノレッスンも演奏家ならではの素晴らしいレッスンなのですが、今年は特別にヴァイオリンとピアノのアンサンブルのレッスンをお願いしました。しかも中学二年生のデュオです。
ピアノの生徒さんの経験は学校の合唱くらいしかなく、ヴァイオリンと、しかも本格的なソナタなど初めてのことです。ピアノの専門的な技術にもまだまだ乏しく、内心教授に失礼ではないかと心配していました。しかし先生は本当に初歩的な音合わせの仕方から温かく丁寧にご指導くださいます。またご自分がいかにアンサンブルが好きか経験を踏まえてお話しくださり「アンサンブルは自分以外の音楽と心を通わせる素晴らしい体験。相手の音楽に喜びを持って向き合って下さい」とおっしゃったのが印象的でした。
何より受講生の中学生がそんな先生の情熱に惹かれたのか、出す音がどんどん変わっていったのに驚きました。中学生の時にこんな体験をすることができた生徒さん、今後どのようになっていくのか本当に楽しみです。また講師の間ではこんなレッスンを若い時に受けたかった!という声が飛び交いました。