初見の授業

フランス留学先の学校では、初見の授業がありました。私は当時初見が苦手だったので何とか克服したいと(よせばいいのに!)その授業を取ったのでした。

その授業は何とも風変わりで、指定された時間に行くとチェリストだったりフルーティストだったり、他のピアニストだったり、毎回違う楽器の人がいて、いろいろな組み合わせでアンサンブルをするのです。もちろんみんな初見で。

チェロもフルートもヴァイオリンも相手は単旋律、いいなぁ、と思いながらもこちらは左手右手必死です。どうにも弾けなくて音がなくなってしまっても、相手は止まらず先に行ってしまいます。確かにアンサンブルや伴奏は初見の訓練には最適かも。

その時わかったのが、ピアノの人は休符を数えるのが苦手という事。オーケストラの曲などは長い長い休みがある楽譜、しかもパート譜を見慣れている分、拍を数える習慣がついています。

時にはどうにも皆の速さについて行けず、泣きたくなることもたくさんありました。その時先生は「自分で私はダメ、できないと思っちゃダメ!」とよく励ましてくれました。初見は訓練によって確かに上手くなると今では実感していますが、やはり気持ちが引いちゃうと良い方向には向かないのですよね。

その女の先生は煙草を燻らせながらいつもどこか気だるい雰囲気で、アル中なんじゃないか?と噂されるほど昼間からお酒の匂いがする先生でした。授業に行ったら「ゴメン、友達が来てるのでこれからカフェに行くの!授業はまた来週!」なんて言われて呆気にとられることも(笑)でもなぜだかとても記憶に残る授業でした。

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