2人でいっしょに
誰だって失敗するのはいやなもの、そのうえ間違いを指摘されたり怒られたりするのはもっといや。几帳面でまじめな人ほど間違いを極端に恐れる傾向があるかもしれませんね。
お子さんも成長とともにプライドが出てくるし、とてもとても慎重にこわごわと言っていいほどの緊張感でピアノに向き合っている生徒さんがいます。指使いや音を丁寧にひとつひとつ確認するため技術的にはしっかりするのですが、音楽の流れがどうもスムーズになりません。例えば手のポジションが変わったときに、拍以上の間が開いてしまったりします。これでは音楽の楽しみを味わうところまでできません。
そんな生徒さんとは仕上げの時に、簡単な伴奏をつけて一緒に連弾することにしています。最初はゆっくり、だんだんテンポをあげて、伴奏もスタッカート風、ダンス風、スキップのリズムで、など少しずつ変えながら一緒に弾きます。ここでは間違えても止めずにどんどん何回も弾きます。それに伴奏があると自分がもし間違えても気づかなかったりいちいち傷つく間もない、それで失敗することにも慣れて行くように思います。私も即興演奏が得意ではないので時々変な和音を使ってしまったりしますが、それもお互いご愛嬌という雰囲気にします。
先日はそんな生徒さんが「先生と10回この曲を弾く!」と言って、本当に10回連続で弾きました。全部違う伴奏にするのが大変でしたが、最後にはとても上手に弾けていましたし、私もすっかり楽しくなって2人でハイタッチしてレッスンを終えました。